柔術は護身術です

以前にも述べましたが、柔術において「距離」というのは最も重要な概念です。
グレイシー柔術では、”Whoever manages the distance manages the damage in a fight.” と教えています。(意訳すると「距離を制する者はダメージを制す」とでも言いますか)
ロサンゼルスのグレイシー・ユニバーシティーでは、入会して一番最初に習うことです。
この「距離」の概念こそが、本来の柔術(グレイシー柔術)がスポーツ柔術とまったく違うところです。

「柔術は護身術」であることを常に意識するために、打撃に対して無警戒にならないクセをつけるために、グローブを着用してのスパーリングも行います。

グレイシー・ユニバーシティーでは、ファイト・シミュレーションと言います。
これはグレイシー・ユニバーシティーでの現役のUFCファイター(元UFC世界ライトヘビー級チャンピオン)とのスパーリングの様子です。

お互いに相手をK.O.する目的のスパーリングではありません。
「ほら、顔面が無防備になってるよ。」と注意を促すために、グローブのクッションの厚い部分でペチペチ当てる程度(もしくは殴るふりだけ)で、もちろんハードヒットはしません。

ケガをしないようクッションの厚いグローブを使用し、安全に配慮して行っています。

テクニックも、相手からの打撃を想定した技術を練習します。

相手と距離があると、殴られる危険があります。

殴られないためには、距離をなくす(密着する)ことです。

グレイシー柔術では、この一番重要で基本の概念とテクニックをまず最初に習い、それは黒帯になっても不変です。
当会でもそのように教えています。

打撃が禁止されているブラジリアン柔術のルール内で、華麗なスポーツ柔術テクニックが開発されてきました。
殴られることを想定していない(競技ルールでは反則ですから)テクニックもあるため、殴られる危険がある場面では不向きなものもあります。

グレイシー・ユニバーシティーでも当会でも、スポーツテクニックを教える際には「このテクニックはスポーツテクニックであり、ストリートでは殴られる危険があるのでやらないように」と言及したうえで練習します。

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